皆さん、お大事に。

台風が来ないうちにと急いで、喉が痛い娘のつきそいで病院に行く。
いきつけの病院。もうかれこれ10年以上は通っている。
老医師は、恐らく70歳を越す。

連休の前だし、台風が来る前にと、皆思っているから、患者で待合室はごった返している。
座る椅子もない。



やっと診察を終えて、待合室でTVを見ていると、顔馴染みの看護婦が声を潜めて尋ねる。
「今、地震なんてなかったよね。TVにも出てないでしょ」
私「ええ。別に揺れたりしませんでしたよ」
看護婦「そうでしょ。先生ったら、確かにグラっと来たって言って、TVで確認して来いって」
耳元でささやくように、そう言う。

ここの先生は名医と評判が高く、遠くからやってくる患者も多かった。ひどく混むのが難点だったが、腕は本当に良かった。
最近は、患者を診る時間も長くなり(以前は一人ひとり丁寧に病状を考え、薬を出しても、驚異的に診察が早かった。)、寄る年波には勝てなくなっているのだろう。

娘の容態はたいしたことはないが、先生の方が心配だ。我が家にとっては、なくてはならない人なんだから。
「お大事に」と言われて、病院を後にしたが、本当は先生に言ってあげたかった。
先生こそ「お大事に」ね。連休はゆっくり休んで下さい。

薬局で薬を貰いに行く。薬剤師は中年の女性。
旦那がレジを手伝っている。いわゆる「髪結いの亭主」らしい。
しっかりしていて、気が強い奥さん。優しいのだけれど、気が弱そうで何となく頼りない旦那。いつも旦那は奥さんに強い口調で何事か叱られ、しゅんとなりながらも文句も言わずに、言うとおりにしている。

いつぞやは、お客が少ない昼下がり、二人仲良く待合の長いすに並んで腰掛けていた。
ドアを開けて入っていったら、慌てて二人同時に立ち上がったので、可笑しかった。
この二人、仲が良いのか悪いのか、よく解らない。

今日は入った瞬間から、ぴりぴりムードが漂う。い、いづらい。
忙しさのあまり間違って書き込まれた薬の分量を、薬剤師の奥さんが気づき、確認を取ってくれる。
本当にいつも仕事にそつがない。医療ミスになりそうな間違いも、いつも水際でせき止めてくれる、有能な人なのだ。
今日はだけど、いつも以上につんけんした態度で、旦那にレジを命ずる。それをへらへらと苦笑混じりに聞き流して、レジを打つ旦那。うん、やっぱり、どう見てもいいコンビだ。
「割れ鍋に、綴じ蓋」。なんて言ったら失礼かな。
でも夫婦のあり方なんて、他人が見てどうかなんか関係ない。お互いが良ければそれでいいわけだから。きっとお互い、一番自分が欲しいモノを、相手が持っているのだろう。

帰り際、「お大事に!」と二人声を揃えて言ってくれる。
ああ、やっぱり、息が合った、いいコンビなのだ。
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by riro11 | 2004-10-09 23:56 | 風趣


花が咲こうと咲くまいと、生きていることが花なんだ      (by イノキ)


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