おじいちゃんが笑った

午後から外出。今日はものすごく暖かく、上着は家に置いていく。
駅まで来たら、上着と一緒に、今日の外出目的である肝心のブツを、
家に忘れてきたのに気付いた。電車に乗る前で良かった。かろうじてセーフ!



幸い、部活から帰ってきた長男が家にいる。
急いで携帯で電話した。
私 「いますぐ、駅まで持ってきて!」
長男 「え~!」
私 「じゃあ、中間地点のクリーニング屋まで!」
長男 「わかったよー」
私 「走ってきてね!」
長男 「そんなに、急いでるのかっ!」

というわけで、実は少しだけ駅からの方が近いクリーニング屋まで、のんびり歩いていると
(悪党か私?)、向うから忘れ物を小脇に抱えて走ってきた長男、発見。
言いつけどおり走ってきたことに満足した私。にっこり笑って、大きく手を振ってやる。
そして、どうやらその私の姿に気付いた様子の長男。

ここまではいい。問題は、この後である。
私と長男の間に実は、ゆっくり私のほうに向かって歩いてきた、ひとりのおじいちゃんが
いた。推定年齢は85歳ぐらい。少々腰も曲がっている。

そのおじいちゃんが、なんと、何を勘違いしたのか、にっこりと満面の笑みを浮かべ、
私に同じように大きく手を振ったのだ!


お、おじいちゃ~ん。あのー、私、アナタに手を振ったんじゃありません。
あくまでも、わが子に向かってですからっ!

しかし、見ず知らずの女性の好意を微塵も疑わない?、あの幼児のような無邪気な
笑い顔。あの顔を見て知らん顔を出来るほど、私は気が強くありません。
ふにゃふにゃの笑顔を、顔にあいまいに貼り付けて、会釈しましたとも。

全然見知らぬおじいちゃん。ここで会ったのは何かの縁ですか?

その後、おじいちゃんの顔がそのまま、いい笑顔のままである事を確認した後、
私はダッシュで走りました。長男の所に向かって。
すれ違う時、申し訳ないが、おじいちゃんの方も見ずに・・・。

なんにも知らないで暢気に、「信じられないよ、お母さん、これ忘れていくって…」と続ける
長男に思わず、「あのおじいちゃんが…」と告白する。
振り返るとおじいちゃんはまさに、角を曲がって視界から消え去る所。駅に戻るためには、
おじいちゃんの行く道を引き返さなければなりません。きっと、すぐ私はおじいちゃんに
追いつきそうです。

考える余地もなく、私がおじいちゃんに会わないですむように、横道に曲がり遠回りして
駅に行ったのは、言うまでもありません。

あのおじいちゃん。きっと家に帰ってから、息子のお嫁さんなんかに、
「今日はいい日だった」とか「わしも満更じゃないなあ」とかこの話をするのだろうか。
もし、明日になってその話をしたら、
「おじいちゃん、エイプリルフールだからって、またそんな事を」
とかなんとか言われるかもしれないが。

でももし、おじいちゃんがこの一件で、いつもより気分のいい一日を送れたのだったら、
別に勘違いされたままでもいいかなあ、と夜になって、そう考えたりした。
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by riro11 | 2005-03-31 23:02 | 苦笑


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